冒険初心者!
冒険初心者!

いざゆかん!テーブルの上の世界へ!

 

 

「ファンタジーTRPGの世界で

冒険者をやってみる人たち」

 

 

 

◇1◇ ゼッタとアレカ

 

 

【ナレーター】

ここはファンタジーゲームの世界。

ロルンの村。

のどかな田舎の村だ。

 

黒髪の少年と、キャベツのような形の

緑の髪の少女が

村の広場でお話をしている。

 

黒髪のゼッタ

「オレは戦士のゼッタだ!行くぞ冒険!

 倒すぞモンスター!」

 

キャベツ頭のアレカ

「あたしも戦士よ。戦士のアレカ。で

    もモンスターとは戦いたくないわぁ」

 

ゼッタ

「なんだと!そんな軟弱なことで、

 ファンタジー世界で生き残れるかっ」

 

アレカ

「だって、そういう性格なんだもーん♪」

 

ゼッタ

「むう、戦士の風上にもおけぬやつ。

    そこになおれっ…て、あれ?剣はどこ     

    だ??」

 

モンキティ

「うききっ」

 

ゼッタ

「あーーーーっ!このサルッ!オレの

    剣を!」

 

モンキティ

「うきぃーーーーーーーーっ」

 

【ナレーター】

モンキティ、ゼッタの剣の持って

走り去る。

 

アレカ「ないす!もんちゃん」

 

ゼッタ

「く!なんたる屈辱。

    そもそも戦士は戦うのが仕事だ!」

 

謎の声

「そうでもないぞい」

 

アレカ

「あ!ケムラン先生!!」

 

【ナレーター】

建物の影から、とんがり帽子の

ひげを生やした老人が歩み出る。

 

魔術師ケムラン

「ふむ。モンキティ。あやつはシーフ

    じゃな」

 

ゼッタ

「なにがそうでもないんですか!

 戦士は戦うのが仕事じゃないす

    か!!」

 

魔術師ケムラン

「ふふふ。若いのう、ゼッタよ。

 それはコンピュータゲームの

    世界じゃな」

 

ゼッタ

「ここも、ゲームの世界です!!」

 

魔術師ケムラン

「たわけっっっっ」

 

効果音:ゴゴゴゴゴゴゴ!!!

 

【ナレーター】

すごい迫力である。

 

ゼッタ&アレカ

「ひえーーーーっ」

 

魔術師ケムラン

「いま、おぬしらがいるのは、

 TRPGの世界じゃ!!!」

 

ゼッタ

「てーあーるぴーじー?」

 

魔術師ケムラン

「「ティー」じゃ!」

 

ゼッタ

「なんだよそれ」

 

魔術師ケムラン

「TはテーブルトークのT!」

 

アレカ

「机でお話しするって意味ですよね」

 

魔術師ケムラン

「うむ。RPGはロールプレイング

    ゲームの略称じゃ」

 

アレカ

「ロールプレイングは役割を演じる

    って意味で、ゲームは遊戯」

 

アレカ

「つまり、机でおしゃべりをしながら、

 役割を演じる遊戯ってことね!!」

 

魔術師ケムラン

「そうじゃ!さすが頭が良いのう!」

 

ゼッタ

「どーせ、オレは戦うしか

    能がないですよーだ」

 

魔術師ケムラン

「コンピュータゲームでは、

 プログラムでできることが

    限られているので、戦士は

    戦うことが仕事じゃが」

 

【ナレーター】

そう言ってあごひげをなでる

ケムラン氏。少し得意そう。

 

魔術師ケムラン

「TRPGの世界では、

    演じることも大事なのじゃ!

    だからアレカのように戦うのが

    きらいな戦士 がいても良いのじゃよ」

 

魔術師ケムラン

「…って、いないし!!!!」

 

モンキティ

「うっきー!」

 

ゼッタ

「まて!こら!サルヤロー!!

    オレの剣を返せっ!」

 

アレカ

「ゼッタ!!先生の話を

    聞きなさいーーーーっ」

 

魔術師ケムラン

「先が思いやられるのうー」

 

【ナレーター】

こうしてロルンの村には

今日ものどかな時間が

流れてゆくのだった。

 

謎の影1

「…オレタチ、マダトウジョウ

    シナクテ、ヨイノカナア」

 

謎の影2

「モンスターの、デバンハ、

    マダダッテヨ」

 

◇2◇に、つづく。

 

 

 

 

◇2◇ クラス(職業)

 

 

ゼッタ

「ようやく、剣を取り返したぞ」

 

アレカ

「もんちゃんは素早いからね!」

 

モンキティ

「うきっ!」

 

【ナレーター】

モンキティはうれしそうである。

 

魔術師ケムラン

「うむ。モンキティはシーフクラス

みたいなので、素早いし、ものを

奪うことが得意なのじゃな」

 

アレカ

「クラス?」

 

魔術師ケムラン

「その世界の職業のことじゃ。

アレカとゼッタは戦士、モンキティは

シーフ。そしてこの私は魔術師じゃ」

 

ゼッタ

「オレは戦士だ!武器は剣だ!」

 

魔術師ケムラン

「うむ。クラスごとに決まった

持ち物があるから、着ている

ヨロイなども最初に決めないとな」

 

アレカ

「ハンカチに、お弁当に、おやつ!」

 

ゼッタ

「ピクニックかよっ!」

 

◇3◇に、つづく

 

 

 

 

◇3◇ ゲームマスター(GM)

 

 

魔術師ケムラン

「ほっほっほ、それもいいのう。

ゲームマスターが良いと言えば、

どんな内容のストーリーもできるのが

TRPGの特徴じゃよ」

 

ゼッタ

「ゲームマスター??」

 

魔術師ケムラン

「うむ。TRPGは、プレイヤーの

中からひとり、ゲームマスター(GM)

という役割を決めて遊ぶのじゃ」

 

アレカ

「GMは何をするの?」

 

魔術師ケムラン

「ゲームの司会進行役、そしてルールの審判が主な役目なんじゃよ」

 

アレカ

「なんだか、大変そうね」

 

魔術師ケムラン

「たしかにGMはルールを覚えたり、

進行をしたりで、会話能力が

必要とされる大事な役割じゃ」

 

ゼッタ

「すげえな!オレには無理そうだ!」

 

魔術師ケムラン

「初心者はまず、プレイヤーから

始めたらよかろう」

 

ゼッタ

「遊ぶ側だもんな!」

 

アレカ

「GMって楽しいの?」

 

魔術師ケムラン

「そうじゃのう!慣れてくると

とても楽しい役割だとわかるだろう」

 

魔術師ケムラン

「ストーリーをつくったり、お話に

出てくるキャラクターを作ったり、

実に面白い役割じゃよ」

 

アレカ

「へぇー!ステキね!わたしもGMに

なれるように、がんばらなくちゃ!」

 

◇4◇につづく

 

 

 

 

◇4◇ 判定(ロール)

 

 

ゼッタ

「あいたたた…」

 

アレカ

「あら?どうしたの?ゼッタ」

 

ゼッタ

「な、なんでもないよっ」

 

アレカ

「あら?あらあらあら?」

 

【ナレーター】

ゼッタが尻もちをついている横には

果実がついた木が生えている。

 

アレカ

「ひょっとして、ペチの実を

取ろうとして落ちたとか??」

 

ゼッタ

「う、うるさいっ!ちょっと足が

すべっただけじゃん!」

 

【ナレーター】

そこにいきなりあらわれる魔術師。

 

魔術師ケムラン

「つまり、ロール(判定)に失敗した

わけじゃな」

 

ゼッタ

「わ!びっくりした!!」

 

アレカ

「ろーる??」

 

魔術師ケムラン

「うむ。TRPGでは、いろいろ行動

するときに、成功するか、失敗するか

サイコロで決めるのじゃ。これを

ロール(判定)という」

 

ゼッタ

「じゃあ、オレは今、

ロール(判定)に失敗したわけか」

 

魔術師ケムラン

「そうじゃのう。木に登る

ロール(判定)に失敗したんじゃなー」

 

アレカ

「何するのにもロールが必要なの?」

 

魔術師ケムラン

「うーん、普通にできることなら

いちいちロールはいらんじゃろ。

そこらへんは、ゲームマスターの

判断しだいじゃなー」

 

アレカ

「わたしは、お料理がとくいよ!」

 

魔術師ケムラン

「おいしい料理をつくれるかどうかは、

またロールが必要じゃがな」

 

アレカ

「カッチーン!もうお昼ごはんに

呼んであげないんだから!」

 

魔術師ケムラン

「あわあわあわ、そりゃ困ったのぅ」

 

ゼッタ

「あははは!お昼が食べられるか

ロールが必要になっちまったなぁ!」

 

◇5◇につづく

 

 

 

 

5◇  戦闘ルール

 

 

【ナレーター】

3人の前にあわてて走ってくる

モンキティ

 

ゼッタ

「どうした?サルこう?」

 

モンキティ

「うきーっ!うきききっ!!」

 

【ナレーター】

そのとき木陰から、ふたつの影が

おどりでた!

 

謎の影1

「ヨウヤク、デバンダゼ!」

 

謎の影2

「ズイブン、マタセヤガッテ!

ニンゲンドモ、カクゴシナッ!!」

 

モンキティ

「うきーーーぃっ」

 

ゼッタ

「てめぇら!モンスターだな!!」

 

謎の影1

「イカニモ!オレハ、ゴブリンノ、

ゴリン!」

 

謎の影2

「オレハ、ゴブリンノ、ゴンブ!」

 

ゴブリンコンビ

「ワレラゴブリン!ニンゲンドモヲ、

チマツリニ、シテヤル!!」

 

アレカ

「キャーッ!なーんて言わないわよぉ!

わたしだって戦士なんだから!」

 

【ナレーター】

よいしょと、椅子を出して座り込む

魔術師ケムラン。

 

魔術師ケムラン

「TRPGでは、こうした戦闘は

よくあるのじゃ」

 

ゼッタ

「ええーっ!こんなときに解説っ?!」

 

ゴリン

「ナメヤガッテ!コノ、コンボウデ、

ナグッテヤル!!」

 

【ナレーター】

ゼッタとアレカは剣を鞘からスラリ!

と抜いた。うしろで拳をかまえる

モンキティ。

 

魔術師ケムラン

「ふむ、どっちが先に攻撃するか

のぅ。あ、ゴブリン側じゃ」

 

ゴンブ

「ワガ、コンボウヲ、クラエッ」

 

効果音:ブンッ!!ポカッ!

 

ゼッタ

「いてっ!当たったじゃねーか!」

 

魔術師ケムラン

「うむ、ダメージを受けたようじゃな。

体力が0になると倒れてしまうから、

気をつけるのじゃぞ!」

 

ゼッタ

「じじいーっ!なにをノンキな!」

 

【ナレーター】

ゴブリンたちと、ゼッタ達の戦いが

つづく。

ゴブリンの攻撃は、最初の一撃のみ

当たったが、ゼッタ、アレカの

剣と、モンキティのサルパンチが

さくれつっ!

 

ゴブリンコンビ

「むぎゅぅぅぅううううっ」

 

ゼッタ

「どうだ!思い知ったかっ!!」

 

アレカ

「これに懲りたら、もう人間を

襲うのは、およしなさいっ!」

 

モンキティ

「うきききっ!」

 

ゴンブ

「ウウウ、ワカッタ。コウサンダァ」

 

ゴリン

「オレタチ、シガナイ、ヤラレヤク」

 

ゼッタ

「もういい!早くうせろっ!!」

 

ゴブリンコンビ

「ハイーーッ」

 

【ナレーター】

ヨロヨロと立ちあがり、立ち去るゴブリンコンビ。

 

ゼッタ

「どーだ!オレたちの力を見たかっ」

 

魔術師ケムラン

「うむ。通常の行為のロールと違って

戦闘では、戦闘ルールが使われる事が

多いのじゃ」

 

アレカ

「もーっ!ケムラン先生っ!先生も

一緒に戦ってくださいよぅー」

 

魔術師ケムラン

「うーん。ワシはNPCじゃから、

戦うか戦わぬかは、ゲームマスター

次第なんじゃよー」

 

アレカ

「え、えぬぴいしい???」

 

◇6◇につづく。

 

 

 

 

◇6◇  PCとNPC

 

 

魔術師ケムラン

「NPC(エヌピーシー)とは、

ノン・プレイヤー・キャラクターの

略なんじゃ」

 

アレカ

「ノン?プレイヤーキャラクター?

てことは、プレイヤーのキャラクターじゃないって意味?」

 

魔術師ケムラン

「そのとーり!!ハッキリ言うと、

わき役みたいなものじゃな」

 

ゼッタ

「じゃあ、主役もいるのか?」

 

魔術師ケムラン

「おぬしらのように、プレイヤーが

演じるキャラクターを

PC(ピーシー)と呼ぶのじゃ」

 

ゼッタ

「おーっ!主役だいすき!アレカもか」

 

アレカ

「ええ。わたしもプレイヤーさんが

演じているから、PCねっ!」

 

魔術師ケムラン

「そうじゃ。ワシのようなNPCは

GMが演じるから、戦いに参加

するかは、GM次第なんじゃよ」

 

アレカ

「よーくわかったわ!つまり、

司会進行役のGMさんのお話を

聞きながら、物語を進めていって」

 

ゼッタ

「行動で結果がわからないときは

ロールする。で、敵が現れたら

戦闘ルールだ!」

 

魔術師ケムラン

「そのとおりじゃ!もう、おぬしら、

冒険できるぞっ!!」

 

【ナレーター】

その時、突然あたりが、うす暗く

なった。すっと目の前に立つ影。

 

謎の声

「ふふふ。おめでたいヤツらだ。

先ほどのゴブリンどもを逃がすとはな」

 

ゼッタ

「だ、だ、だれだっ!!!!」

 

◇7◇につづく

 

 

 

 

◇7◇  シナリオとレベル

 

 

【ナレーター】

目の前の人影を薄い明かりが照らす。

そこには真っ黒な

ヨロイを着た男が立っていた。

 

謎の声

「私の名はヴァレス。黒竜公と

呼ばれることもあるがな」

 

アレカ

「す、すごい重圧!動けないよ!!」

 

ゼッタ

「く、くっそー!」

 

黒竜公ヴァレス

「風の魔術師よ、おまえがいると

聞いて見にきたが、ゴブリンどもを

逃がすほどのフヌケと一緒とは

老いぼれにもほどがあるぞ!」

 

ゼッタ

「なんだと!おまえなんかオレが

斬ってやるっ!!」

 

黒竜公ヴァレス

「はっはっは!なかなか面白い

冗談だな小僧。レベルが違いすぎる

のだよ、レベルが」

 

魔術師ケムラン

「黒竜公よ。おまえにはわからぬよ。

真の勇者とは、争いを求めるもの

ではないことが!」

 

モンキティ

「うききーーーっ!!」

 

【ナレーター】

黒竜公にとびかかるモンキティ。

しかし、その身体を通り抜けてしまう。

 

黒竜公ヴァレス

「ほう。そのサルは動けるのか。

残念だが、この私の姿は幻にすぎない」

 

アレカ

「なんですって!?」

 

魔術師ケムラン

「こやつは魔法戦士じゃ。しかも、

とてつもなく高レベルのな」

 

黒竜公ヴァレス

「はっはっは!私は黒牙城にいる。

いつでもかかってくるがよい」

 

【ナレーター】

そう言うと、黒竜公の姿はうっすらと

周囲に溶け込んでいった。

 

すこしの静寂があり

あたりはもとの村に戻る。

 

ゼッタ

「う、う、動けなかった!」

 

アレカ

「わたしもよ。くやしいっ!!!」

 

魔術師ケムラン

「今のは幻影じゃ。本体だったら、

村ごと消し飛ばされているぞ。

あやつの乗るダークドラゴンに!」

 

ゼッタ

「お、オレ、絶対に強くなってやる!」

 

アレカ

「わたしだって!あんな人に

負けるものですか!」

 

モンキティ

「きききっっ!!!」

 

魔術師ケムラン

「まずは、経験じゃ!

経験をつんで、あやつと戦えるほどの

レベルになることじゃっ!!」

 

魔術師ケムラン

「黒竜公はGMが用意した強力な

ライバルNPCじゃ。おぬしらは

たくさんのシナリオをクリアして、

黒竜公に立ち向かうじゃよ!」

 

アレカ

「わたし、真面目に戦士の修行を

するわ!」

 

ゼッタ

「ああ、やってやるさ!先生」

 

効果音:ぐぅぅぅぅぅーーーっ

 

【ナレーター】

その時、ゼッタのお腹が

大きな音をたてて鳴った。

 

魔術師ケムラン

「おや、大きなはらのむしが鳴ったぞ」

 

アレカ

「もー、しょうがないわね!

ピクニック用のお弁当、持ってくるわ」

 

ゼッタ

「す、すまねぇ。腹がへったら、

たたかえねぇよー」

 

モンキティ

「うきっ!!!」

 

【ナレーター】

大きくうなずくモンキティ。

 

みんな

「あっはっはっはっは!!!」

 

【ナレーター】

ロルンの村の空には白い大きな雲が

浮かんでいる。

 

ゼッタとアレカの冒険は

これから始まる!

 

◇◇◇

 

 

「TRPGの世界で冒険者を

やってみる人たち」

 

 

◇おしまい◇

ドラゴンキャッスルズRPG